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スピードスケート | ロックと曲げ

日中は汗ばむ気温になってきました。
ただ、朝晩との寒暖差が大きいので、
丁度練習する時間と重なることから、
服装で調節しないと一気に風邪をひいてしまいます。



競技力の向上は「練習」や「トレーニング」以外ありえませんから、
体調管理は最も重要な項目になります。
常に上着を持参することはどの季節でも基本中の基本ですので、
元気もりもりで練習に取り組んでくださいね




7月末からのリンク開きについて、
そろそろ準備を始める時期です。
ブレードや靴のサイズ、
スペックなどのご相談が多くなってきました。
確実に間に合わせるためにも、
そろそろご検討を開始されてください。



わからないことは何でも聞いてくださいね!!







さてさてロックと曲げのお話の続きです。
お客様からのご質問の多い、
ロックは楕円か真円か?についてです。
ご質問内容とご回答(→以降)という形式で記載いたします。


ご質問
ロックには、各々の個性もあり、答えはないと思いますが、
一般論、デフォルトとしてダイヤルゲージが示す数値はブレード全体、
同様な数値を示すのが基本と思っていますが如何でしょうか?

 ご回答
  違います。
  ブレードの気持ちになってお考えいただければご理解しやすいかと思います。
  全長が同様な数値を表す条件は下記です。

  ■昔の「カップ」と言われるようなブレードで、スラップではないこと
  ■スケーティングリズムが当ピッチであること

  です。

  例えばショートトラックですが、
  スラップではありませんが、コーナーリングリズムは一定のピッチではありません。
  なので、楕円ロックで、ロックの頂点がと両端のアールは異なります。


  一方で、ロングトラックは、
  直線、コーナーともに一定のリズム(ピッチ)ですが、スラップスケートです。
  足の運動と、ブレードの運動が違います。
  足は一定のリズムで、踵からつま先に力がかかります。
  では、ブレードはいかがでしょうか。
  踵から着氷することは、足と同じですが、足がつま先まで力が抜けても、
  ブレードはスラップし、氷を押し続けております。
  つまり、土踏まずから指先への体重移動の際には、
  ブレードは緩やかに先端にかけて重心が移動していきます。


  なので、結論を申し上げると、
  先端にかけてロックは緩やかに低くなっていくことで、
  氷を捉える面積をより広く確保することで加速、スピードの維持を図ることができます。




ご質問
仮に、ブレードの先端が高い数値で、
頂点にかけ低い数値となり、頂点から徐々に高い数値を示した場合、
意図的にその様にし、
それが調子が良ければそれで良いのでしょうが、
全く意図しない場合、どの様な評価になるのでしょうか?

 ご回答
  スピードスケートにおいて、加速、スピード維持のメカニズムは、「氷を捉えている面積量」に比例します。
  つまり、ブレード後端から先端にかけて体重移動する際、「より広い面積を捉えたまま」先端に移動した方が物理的にスピードが出ます。
  ロックは低ければ低いほど、後端から先端への体重移動が「しにくい」ですので、「足は動かしにくい」です。


  後端と先端を落とした場合、「足は動かしやすい」ですので、足の運びが容易になります。
  しかし、これは調子がよいと錯覚しやすいのです。


  よく皆さんにする説明で例えるのが、自転車のギヤです。
  軽いギヤの場合、非常にこぎやすいですが、スピードは出ないと思います。
  重いギヤの場合、重くてこぎにくいですが、スピードは非常にでます。


  健康のためにスピードスケートをするのであれば、「気持ちよ滑れるロック」で滑られても構いませんが、
  記録向上を図るのであれば、可能な限り低いロックで、ブレードの取付位置は先端にし、氷離れをできるだけ遅らせて、
  少しでも長く氷を捉えるセッティングにします。
  当然、氷を捉える時間が長くなるので、筋肉への負荷も増加します。
  これは死に物狂いのトレーニングで解決します(競技会で好記録をだすためです)




ご質問
ショートのブレードは曲げ入れてましたが、
ロングのブレードに曲げは入れていませんでした。
ロングやショートの場合、どの程度の曲げが必要と考えられるのでしょうか?(その数値を考慮し管理したいので)
 →曲げを入れるメカニズムを理解すると、ロングのブレードでも曲げを入れる必要性を理解できます。
  ショートトラックは曲げを入れるのは「カーブがきついから曲がりやすくするため」と解釈されてる方が多いのですが、違います。
  ロックを付けたブレードでバンクした際、捉える氷の面積を拡大したいからです。
  曲げが入ることで、着氷面積は増加されますので、加速します。
  この理屈はショートもロングも関係ありません。
  バンクした際の氷の面積の最大化は、どちらの競技でも有効です。
 



  「約」と表現するのには理由があります。
  お勧めのカーボテクニクスのダイヤルゲージで、
  80Rはメモリ13を狙うのですが、四捨五入の範囲(12.6~13.4)には76R~81Rが入ります。
  前後1メモリまで範囲を広げると、70R~88Rまでが範囲になります。



  さらに
  ダイヤルゲージは機械ですので、公差±5メモリがあります。
  つまり
  メモリ13を狙って管理したところで、それはメモリ8(135R)かもしれないし、18(55R)ということです。


  なので、曲げをダイヤルゲージで傾向をみることはできますが、絶対的な管理はほぼ不可能です。


  では、スピードスターはどうやって曲げ造りや、曲げのメンテナンスをしているのですか?と問われましたら、
  定規型のロックゲージをもとに、それを「マスター」としてそれを使って光の透過状況で管理しています。
  (ちなみにロックもです)

  「その定規型のロックゲージは正しいのですか?」と言われましたら、はっきりと「わかりません」と申し上げます。
  それは、先述した通り、正確に測ることができないからです。
  この「ダイヤルゲージの限界」を知らない方が多いんですよね、、、
  ダイヤルゲージはなんでも正確に測れると思ってる方が本当に多いのです、、、
  ロングトラックにおけるダイヤルゲージで精度の議論はできません。



  ただし、
  傾向管理はできます。ロングトラックにおけるロック形状の維持は死活問題ですので、
  この「傾向管理」は非常に重要です。
  


  アナログの「マスター」を持っていたら、それを使用する限りは「毎回同じロック」「同じ曲げ」での加工、メンテナンスが可能ですので、
  我々エンジニアはそれを使用します。



  定規型のロックゲージは一般の方にはお勧めしません。
  光の透過率での判断、加工は、相当職人的な「目」が必要ですので。




 長文失礼しました。素晴らしい質問でしたので、ついつい熱が入ってしまいました。




 ご質問等ございましたら、お電話でも深夜0:00まで受け付けておりますので遠慮なくご連絡いただければと思います。


 

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スピードスケート専門店 Speed Star
店長     : 中山 久美
電話番号   : 050-5534-5640 
(不在の場合はメッセージを残しておいて頂ければ必ず折り返します)
メール     :  info@office-speedstar.com
お得な
メルマガ登録 : http://goo.gl/FRJPR
ブログ    :  https://speed-star20181107.blog.so-net.ne.jp/
ショップURL :  http://office-speedstar.com/
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